ピンクエピドートクォーツについて
【和名・緑簾石(りょくれんせき) | 英語・Pink Epidote|産地・タンザニア】
ピンクエピドートを内包するクォーツです。その色合いから「
アフリカンストロベリークォーツ」とも呼ばれる天然石です。当店ではビーズを中心に、カボション(ルース)も販売しております。
エピドートの特徴
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エピドートとは
エピドートの名前の由来は、ギリシャ語で「増加する」を意味する「epidiosis」です。エピドートは結晶が成長する時、1組の面が他の面よりも幅広く成長し、結晶が伸びる方向に平行した条線が見られます。そのため、多くの結晶が密集しているかのように見えることからこの名前になりました。発見された1801年に、フランスの鉱物学者ルネ=ジュスト・アユイによって名付けられました。
緑の簾(すだれ)のような外見の結晶が代表的であることから、和名は「緑簾石(りょくれんせき)」と呼ばれています。鉄分が多いほど緑色になり、他にも赤やピンク、黄緑などカラーバリエーションが豊富な天然石です。
また、さまざまな光の効果を持つ天然石としても有名です。たとえば、単体の結晶は角度によって色が異なって見える「多色性(プレオクロイズム)」を示す場合があります。また、エピドートグループの一つである「タウマワイト」は照らす光の種類によって色が変わって見える「カラーチェンジ効果」を示す場合があります。
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エピドートの産状
エピドートは針状、柱状、角柱状の結晶を形成します。長野県の武石村では、凝灰岩や変質した安山岩の中でノジュール(団塊)となって産出することもあり、割ってみると空洞の内部に針状のエピドートが密集している光景が見られます。その外見から「うぐいす餡の焼き餅石」と呼ばれることもあります。
共生鉱物として、クォーツやアデュラリア(氷長石、ひょうちょうせき)を伴うことがあります。また、クォーツに内包されると、植物が入っているかのような外見から「草入り水晶」と呼ばれたり、後述する「エピドートクォーツ」(エピドートインクォーツ)と呼ばれたりするようになります。
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ピンクエピドートクォーツ
マンガンを含んだピンクのエピドートを内包し、アベンチュレッセンス効果が見られるクォーツを指します。アベンチュレッセンス効果とは、エピドートの細かい断片が光を反射してラメのようにキラキラと輝く効果です。ピンクエピドートクォーツは「ストロベリークォーツ」または「アフリカンストロベリークォーツ」とも呼ばれます。
ストロベリークォーツはカザフスタン産もありますが、エピドートではなくレピドクロサイトやゲーサイトを含んで赤く発色するため、当店ではそれらと区別して「ピンクエピドートクォーツ」や「エピドート」という名で取り扱っています。
クォーツは地殻を構成する非常に一般的な造岩鉱物で、フェルスパー(長石、ちょうせき)に次いでもっともよく見られます。火成岩・変成岩・堆積岩のいずれにもしばしば含まれます。二酸化ケイ素が火山噴火した際に出たマグマの熱に溶かされ、それを含んだ水が冷やされて結晶化することでクォーツが作られるのですが、結晶化する際にピンクエピドートを取り込むことで、キラキラとしたアベンチュレッセンス効果が見られるピンクエピドートクォーツになるのです。
エピドート 鉱物データ
項目 |
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和名 |
緑簾石 りょくれんせき |
モース硬度 |
6~7 |
結晶 |
単斜晶系 |
成分 |
Ca2Fe3+Al2(Si2O7)(SiO4)O(OH) |
比重 |
3.25 |
色 |
赤、ピンク、緑、黄緑 |
一般的なトリートメント等 |
樹脂含有処理 |
エピドートの産地
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宝石質のエピドートやピンクエピドートクォーツが採れる主な産地はアフリカです。当店では、タンザニア産のピンクエピドートクォーツを中心に取り扱っております。
エピドートの価値
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エピドートの価値
エピドートは、発色がよく、クラックの少ない透明度の高いものが価値があるとされています。ピンクエピドートクォーツはその条件に加え、エピドートの含有量が多く、アベンチュレッセンス効果が明確に見えるものが高い価値を持ちます。
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さまざまに呼び名が変わるエピドート
エピドートとは単体の鉱物ではなく、実は10種類以上の鉱物からなるグループ名です。そのため、さまざまな呼び名があります。
たとえば、ピスタチオの果実のような優しい緑のエピドートは「ピスタサイト」と呼ばれます。また、鉄分よりアルミニウムを含む量が多くなり、褐色や灰色になったものは「クリノゾイサイト(斜灰簾石、しゃかいれんせき)」と呼ばれます。マンガンを含むと赤やピンクになり「ピーモンタイト(紅簾石、こうれんせき)」と呼ばれます。