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キャストライト
(クロスストーン)
キャストライトについて
【和名・空晶石|英語・Chiastolite|産地・ブラジル】
キャストライトは黒い十字模様が特徴的なためクロスストーン、十字石ともよばれる天然石です。当店ではカボション(ルース)、ペンダントトップを中心に販売しております。-
キャストライトとは
キャストライトとは、十字架のような黒い交差線が入った天然石です。名前の由来は、ギリシャ語で十字架を意味する「chiastos」です。別名「クロスストーン」とも呼ばれます。
交差線の正体は、グラファイト(石墨、せきぼく)などの炭素質。四角い柱状結晶の横断面に、炭素質が入り込み、十字の形を作ります。このような構造を「空晶石構造(くうしょうせきこうぞう)」と呼びます。
結晶の中に炭素を取り込む現象はエメラルドなどでも起こり、その場合は「トラピッチェ」と呼ばれます。その構造的な特徴から、キャストライトの和名は「空晶石(くうしょうせき)」と呼ばれます。
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キャストライトの産状
キャストライトはペグマタイトや泥質岩に由来する変成岩、特に泥質ホルンフェルス(泥岩が熱によって変質するタイプの接触変成岩)などに生成され、柱状結晶に成長します。生成する過程で、マスコバイト(白雲母、しろうんも)に変化することもあります。
キャストライトはカイヤナイト(藍晶石、らんしょうせき)やシリマナイト(珪線石、けいせんせき)という鉱物とは同じ成分で構成されていますが、結晶の構造が異なる同質異像(どうしついぞう)という関係にあります。結晶の構造が異なるだけで、色や性質が全く異なった鉱物になるのです。中〜高温で低い圧力の中ではキャストライトになりやすく、低温で高い圧力の中ではカイヤナイトになりやすいです。また、高温で中〜高い圧力の中ではシリマナイトになりやすくなります。
このように、温度・圧力の違いによって3種類の鉱物に分かれて成長するので、これらが含まれる岩石が、地下でどのような状態を経て生まれたのかを知ることができる貴重な資料ともなるのです。また、キャストライトは生成の過程で、コランダムやトルマリン、トパーズなどを共生鉱物として伴うことがあります。
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キャストライトとアンダルサイト
キャストライトはアンダルサイト(紅柱石、こうちゅうせき)という鉱物の一種です。アンダルサイトが成長の過程で炭素質を取り込むことで、キャストライトになるのです。
アンダルサイトは、石を見る方向によって赤、黄、緑など、色が2色〜3色に変化して見える「多色性(プレオクロイズム)」という特徴があります。これは、アンダルサイトの結晶の内部を通った光が、結晶を見る方向によって異なった吸収・反射のされ方をするため、目に飛び込んでくる光の色も変化し、結果として色が変化して見えるのです。
あまりにも鮮やかな色の変化を遂げることから、アンダルサイトは「多色性の王様」の異名を持つ天然石としても知られています。アンダルサイトの多色性は、くるくるとダンスを踊るように目まぐるしく色が変化することから「アンダルサイト・ダンス」とも称されます。
キャストライトは多くが不透明なので、多色性は見えない場合が多いです。言い換えれば、多色性と引き換えに十字模様を得たとも解釈できるでしょう。
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キャストライトとスタウロライト
キャストライトとスタウロライトは、ともに十字の模様が浮かび上がる天然石であることから、ともに「クロスストーン」の愛称で知られます。しかしながら、これらは全く別の鉱物なのです。また、十字模様の発生原因も異なります。
キャストライトの十字は炭素質が入り込むことで生まれますが、スタウロライトの十字は結晶が双晶をなすことで形成されます。スタウロライトはすべてが完全な十字になるわけではなく、双晶が60度の角度で交わってX字状になることもあります。
とはいえ、その特徴的な外見から、どちらも十字架を象徴として持つ人々に愛用されています。また、スタウロライトは、キャストライトの全く無関係なわけではありません。キャストライトと同質異像であるカイヤナイトを含む鉱物の変成作用(岩石が、熱や圧力などで構造が変化する作用)によって作られるからです。このように、両者には不思議なつながりがあるのです。
キャストライトの特徴
キャストライト 鉱物データ
項目 | |
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和名 | 空晶石 くうしょうせき |
モース硬度 | 5〜5.5 |
結晶 | 斜方晶系 |
成分 | Al2SiO5 |
比重 | 3.05 |
色 | 灰色、褐色地に黒色の交差線 |
一般的なトリートメント等 | 無し |
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キャストライトの歴史
キャストライトは、16世紀のスペインでは魔除けの護符として使われました。また、解熱薬として使われていたこともあります。十字の模様が現れるという神秘性から、薬効があるとされたのかもしれません。 -
キャストライトの産地
市場に出回るような、質の高いキャストライトが産出することで有名なのはブラジルです。他にはロシア、シベリア、オーストラリア、中国などでも産出します。日本でも産出したという記録が残っています。当店では、ブラジル産のキャストライトを中心に取り扱っています。
キャストライトの歴史と産地
- キャストライトは地色が鮮やかで、十字の交差線が途切れずにはっきりと現れているものが高い価値を持つとされています。通常の天然石では敬遠されがちなインクルージョンですが、キャストライトの場合はこのインクルージョンこそが十字を形成する大切な要素なのです。
キャストライトの価値
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傷がつかないよう、取扱いに注意
キャストライトは傷つきにくさを示すモース硬度が5〜5.5と、どちらかといえば柔らかい天然石です。また、劈開を強く示すため、何かにぶつかった時の方向によっては割れやすい場合があります。硬い地面に落としたりしないよう気をつけましょう。また、キャストライトより硬度の高いクォーツやトパーズ、ルビーやサファイアなどと一緒にすると、傷がついてしまう可能性があります。キャストライトを保管する時は、他の石とぶつからないよう、仕切りのある箱や小袋に入れるなどして、個別に保管すると安全です。 -
普段のお手入れは空拭きで
キャストライトは汗などで劣化しにくい石ですので、普段のお手入れは空拭きで結構です。キャストライトのアクセサリーを身につけた後は、乾いた布で空拭きをすると、キャストライトの美しさを長い間保つことができます。 -
汚れが気になる場合は、中性洗剤やアルコールティッシュで洗う
キャストライトは水に強い特徴があるので、水洗いが可能です。基本的には水だけでもじゅうぶん汚れが落ちますが、皮脂汚れなどが気になる際は、中性洗剤を垂らしたぬるま湯でもみ洗いをします。汚れが落ちたら、洗剤が残らないように水でしっかりとすすぎます。すすいだ後は、乾いた布で水気をよく拭き取ります。また、アルコールティッシュで軽く拭くことでも汚れを落とすことができます。 -
直射日光には当てない
キャストライトは長時間直射日光に当てると、含まれる成分が化学反応を起こして退色してしまう恐れがあります。そのため、直射日光が当たらない場所で保管をしてください。保管する際は、蓋つきの容器に入れておくとよいでしょう。
キャストライトのお手入れ
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