瑪瑙(めのう)・ボツワナアゲートについて
【和名・ボツワナ瑪瑙/ボツワナメノウ|英語・Botswana agate|産地・ボツワナ共和国】
ボツワナアゲートは鮮やかな色合いと細かく入る縞模様が特徴、
瑪瑙の中でも人気の高い天然石です。当店ではビーズを中心に、カボション(ルース)も販売しております。
ボツワナアゲートの特徴
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ボツワナアゲートの名前の由来
ボツワナアゲートは、「アゲート」という天然石の一種です。アメリカのボツワナ共和国で採れるアゲートだけを「ボツワナアゲート」と呼びます。アゲートの名前の由来は、ギリシャ語の「achates」という単語からです。これは、イタリアにあるシチリア島のアカーテ川(Acate)でこの天然石が産出していたことが由来です。断面の縞模様が馬の脳に似ていることから、和名は「馬脳」が転じた「瑪瑙(めのう)」と呼ばれています。
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アゲートはクォーツの仲間
アゲートはカルセドニー(玉髄、ぎょくずい)とともに、クォーツ(石英、せきえい)のグループの仲間になります。そのため、成分上はクォーツと同じSiO2(シリカ)です。クォーツの非常に細かい結晶が網目状に集まり、沈殿したものが緻密に固まったものがカルセドニー。そのカルセドニーの中でも、沈殿する過程で鮮やかな縞模様ができたもののみをアゲートと呼びます。
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アゲートの産状
アゲートは、主に火成岩や堆積岩の、空洞や割れ目にその成分が沈殿してできます。まれに鉱物の結晶が群生するところに珪酸溶液が流れ込み、アゲートを作ることもあります。中心部に隙間を残して育つことも多く、その隙間にクォーツの結晶ができたり、液体が残っていたりすることもあります。前者はクォーツと縞模様がよく見えるように切断されたものが、置物として流通することが多いです。後者は「水入りアゲート」として流通します。
また、アゲートはミクロの穴が無数に空いている「多孔質(たこうしつ)」と呼ばれる性質も持っています。この穴から金属塩を溶かした溶液を染み込ませた後に加熱することで、さまざまな色合いに染めることができます。
ボツワナアゲート 鉱物データ
項目 |
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和名 |
瑪瑙 めのう |
モース硬度 |
6.5~7 |
結晶 |
三方晶系 微晶質 |
成分 |
SiO2 |
比重 |
2.58 |
色 |
赤、白、褐色、黒、水色等 |
一般的なトリートメント等 |
なし |
ボツワナアゲートの歴史と価値
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アゲートの歴史
アゲートと人間との歴史は古く、古代にはその硬さや破片の鋭さを利用して、石器の材料に使われていました。また、時代が下るにつれ、不思議な力を持つ石としても知られるようになりました。たとえば、11世紀に活躍したフランスの司教マルボドゥスは、アゲートを身につけると人当たりがよくなり、説得力のある言葉を使えるようになり、神の加護も受けられるようになると主張しました。また、19世紀の半ば頃には、アゲートは護符としての人気がとても高まりました。ドイツのイーダー・オーバーシュタインで大規模なアゲート加工施設が稼働しており、特に縞模様が目のように見えるように加工された護符が人気を博しました。
日本でも、古墳時代後期には、中国向けにアゲートを輸出していたという記録が残っています。また、古来より七宝の一つとしてアゲートが挙げられるなど、国外への輸出のみならず日本国内でも大切に使われてきた石なのです。
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パワーストーンとしても人気のあるボツワナアゲート
ボツワナアゲートは、パワーストーンとしても非常に人気の高い天然石です。ボツワナアゲートを身につけると、新しい自分の発見や人間的成長を助けるといわれています。また、心の豊かさや感謝の気持ちを引き出してくれる石としても有名です。
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ボツワナアゲートの価値
ボツワナアゲートは、美しい縞模様がはっきりと見え、色合いが美しいものほど価値が高いとされています。当店では、明るいオレンジからこっくりとした深みのあるブラウンまで、色とりどりのボツワナアゲートを取り扱っております。
ボツワナアゲートの産地
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ボツワナでしか採れない希少なアゲート
ボツワナアゲートは、その名の通り、アフリカのボツワナ共和国でしか産出しない希少なアゲートです。ボツワナ共和国とは、アフリカ南部に位置する国です。南を南アフリカ共和国、西と北をナミビア、東をジンバブエ、北をザンビアに囲まれた内陸国となっています。ザンビアとの国境は約150mほどしかなく、世界で一番短い国境線といわれています。首都はハボローネで、南アフリカ共和国を構成する一民族でもあるツワナ人が多く住んでいます。
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ボツワナの歴史
ボツワナは、他の大陸や、アフリカに生まれた各地の帝国との関係は薄く、独自にゆるやかに発展してきた国です。少量ながら金が産出する場所があるため、唯一、東のジンバブエに栄えた国々との交流は進んでおり、安定した社会が形成されていました。
ボツワナの情勢を大きく変えたのは、ヨーロッパ人の侵入です。オランダ系のボーア人の破壊と侵略を受けた後、イギリスの保護下に入りました。さらに19世紀に至ると、ボツワナはアフリカ人同士の戦争の影響を強く受けることになります。しかしながらボツワナは資源に乏しく、厳しい風土、辺境の地であることなどから、19世紀後半のアフリカ分割においても、侵略国からはあまり重要な国として扱われてはいませんでした。その影響か、ボツワナ共和国としての独立は、アフリカ大陸の中ではかなり最後の方になりました。
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ボツワナの主要民族、ツワナ人
ボツワナは、大きく分けて3種類の民族が暮らしています。もっとも多いのは、ボツワナの人口の実に90%以上を占めるツワナ人という民族。そして残りは、少数民族のサン人とコイ人が住んでいます。ツワナ人はカトゥ、クウェナ、クガトゥラ、タワナ、ロロン、ングワケツェ、ングワト、ンデベレという8つの部族からなる民族です。
ツワナ人社会は部族の長「コシ」を中心とする集権型社会となっています。コシは、部族の法を取り決めたり、裁判を行ったりするほか、他の部族との交渉も担う、とても重要な役割です。そのコシの下には、コシの親族が占める貴族階級が形成されています。更にこの下には、ツワナ人からなる大多数の平民が属しているのです。ツワナ人と関わりが深いのがサン人で、両者は長い間、交流を重ねてきました。彼らの間には物資の交換や、労役の提供など、強いつながりが形成されています。
そんな歴史あるボツワナで採れるアゲートが、特別な希少価値を持っているのは、とても興味深いことです。